採用ノウハウ

病院求人に応募が来ない理由は?
有効求人倍率だけでは説明できない差

採用ノウハウ2026.08.12約6分で読めます
求人ページを確認しながら考え込む病院の採用担当者

「求人サイトに掲載して数週間、応募はゼロ。仕方なく人材紹介会社に連絡する」。多くの病院の採用担当者にとって、見覚えのある流れではないでしょうか。この記事では、看護師・医師の有効求人倍率という需給面のデータを押さえたうえで、同じような需給環境にあるはずの病院の間でも応募数に差がつく理由を、求人票・紹介会社への依存度・情報発信という観点から整理します。

01看護師・医師の有効求人倍率が示す需給の厳しさ

厚生労働省「職業安定業務統計」に基づく集計によると、保健師・助産師・看護師の有効求人倍率は2倍台前半から半ばで推移しているとされます(全職業平均は1倍台前半)。単純に言えば、1人の求職者に対して求人が2件以上競合している状態です。厚労省が2025年に向けて示していた将来見通しでは、看護職員が最大27万人前後不足すると推計されていました。看護師の採用が売り手市場であることは、データの上でも裏付けられています。

医師については有効求人倍率という指標だけでは実態を測りにくいものの、都市部への医師の集中、いわゆる医師偏在は厚労省も政策課題として位置づけており、地方の病院ほど採用に苦戦しやすい構造があります。

02有効求人倍率だけでは説明できない、病院間の応募数の差

ここまでの数字だけを見ると、応募が来ないのは仕方ないという結論になりそうです。ただ、同じ地域・同じ診療科・同程度の給与水準の病院でも、応募が集まる病院とまったく集まらない病院があります。有効求人倍率は地域・職種単位の需給を示す指標であり、個々の病院がどれだけ選ばれるかとは別の話です。応募数の差の少なくとも一部は、病院側でコントロールできる要因から生まれていると考えたほうが実態に近いでしょう。

03応募が来ない病院に共通する求人票の問題

求人票の内容が薄いケースは、想像以上によく見られます。「業務内容:病棟業務全般」「給与:応相談」のような記載では、求職者は自分に務まる仕事なのか、生活が成り立つ水準の給与なのかを判断できません。判断できない求人は、比較検討の土台に乗らないまま読み飛ばされます。

写真がなく、更新日も何年も前のままの求人票も同様です。求職者からすれば、この病院は本当に今も人を探しているのだろうか、という不安につながります。

ヒポくん

ヒポくんメモ「業務内容:病棟業務全般」だけだと、求職者からすると一日の流れも人間関係もまったく見えないんだ。書く側は分かっているつもりでも、外から見た人には伝わっていないことが多いよ。

04紹介会社への依存という導線の問題

採用のほぼすべてを人材紹介会社経由にしている病院では、自院のホームページやSNSから直接応募できる導線がそもそも用意されていないことがあります。この場合、応募が来ないというより、応募という行為そのものが紹介会社を通してしか発生しない設計になっている、と言ったほうが正確です。

紹介会社の担当者がどれだけ熱心に動くかによって応募数が左右される状態は、病院側から見れば中身の見えないブラックボックスです。紹介手数料の負担だけでなく、応募の入口そのものを他社に委ねている点でも、リスクがあります。

05情報発信・採用サイトの有無による差

採用サイトを整備し、職場の様子や条件を具体的に発信するようになったことで、紹介会社経由に頼らない直接応募が入るようになった、という医療機関の事例も報告されています。求職者は応募する前に病院名で検索し、公式サイトやSNS、口コミサイトの評判を確認するのがすでに当たり前になっています。検索した先に情報がなければ、比較の土俵にすら上がれません。

06応募を増やすためにできること

即効性のある施策ではありません。ただ、有効求人倍率という外部要因を変えられない以上、病院側でコントロールできる部分を地道に積み上げるしかないというのが実情です。

応募数が増えてくると、今度は一人ひとりを丁寧に見極める時間の確保が課題になります。応募が少ないうちは全員と面接できても、数が増えれば選考のスピードと精度を両立させる必要が出てくるからです。

本記事は厚生労働省「職業安定業務統計」等の公表データをもとにした一般的な情報提供です。地域・職種別の最新の有効求人倍率は、厚生労働省やe-Statの公表資料をご確認ください。

07よくある質問

Q. 有効求人倍率が高い地域では、応募を増やす努力をしても意味がありませんか?

需給全体を変えることはできませんが、同じ需給環境の中でも応募数に差がつく病院は実際にあります。求人票や情報発信を見直す余地が残っている病院は少なくありません。

Q. 紹介会社の利用をやめるべきですか?

やめる必要はありません。ただし、応募のすべてを紹介会社に依存している状態は、応募数が紹介会社の動き次第になるという意味でリスクがあります。自院からの直接応募の導線を並行して持つことが望ましいでしょう。

Q. 応募が増えたら、次に気をつけることは何ですか?

応募数が増えるほど、一人ひとりを面接だけで見極める負荷は大きくなります。書類・面接に加えて、一緒に働いた第三者に確認するリファレンスチェックのような手段を組み合わせることで、選考の精度を保ちながら数をこなせるようになります。

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